症例18:膝のかさぶた下の感染

41歳男性。5月8日に左膝をすりむき、かさぶたができたが傷の周りが痛くなり、足の付根も痛くなり5月15日に受診。

 左膝の擦り傷に分厚いかさぶたが出来ています。かさぶたは少し浮いていて、中から膿が出てきていました。

また、左足の付け根のリンパ節が腫れて痛みがあり、膝の感染が全身に波及しつつあるところでした。

   浮いているかさぶたをハサミで切除しました。かさぶたの下には膿が溜まっていて、洗うと写真のように隙間があいていました。

かさぶたはばい菌のすみかですのですべて除去してプラスモイストで被覆しました。

抗生剤は皮膚常在菌などに強いL-ケフレックスを最大量投与しました。

   5月18日。

痛みは軽くなり、傷の状態も良好です。プラスモイストを継続し、乾燥気味になったらワセリンを併用するようにしてもらいました。

   6月19日。

ご自身の処置で一旦治癒していましたが、薄い皮膚の状態だったようで表皮の下に感染を起こして破れてしまったようです。

プラスモイストを毎日貼り替えながらしばらく使用していただき、抗生剤も再度処方しました。

   8月10日。

別の病気で受診された際に撮影させていただきました。皮下組織が薄い部分のケガはあとが残りやすいです。

「かさぶたができたら傷は治る」と思われがちですが、かさぶたは血や死んだ組織の固まったもので、ばい菌の格好のすみかです。かさぶたの裏側の傷側の面は湿り気がありばい菌が増殖する最高の条件になります。
ばい菌を増やさないためには、餌になる壊死組織などをなくして、定期的にきれいなお湯で洗い流してしまうのが一番ですが、かさぶたがあるとどちらも出来ません。かさぶたができないように、最初からきれいに洗った上でプラスモイストなどを当てて、定期的に洗って付け替えるのが一番です。