症例24:小児の肩・腕のやけど
1歳5ヶ月の男児。9月23日にコーヒーの入ったマグカップを倒して左肩と上腕にやけどしました。病院でプロペトとフィブラストスプレーが処方され家で処置をされていましたが、ネットでプラスモイストが良いと知り、購入して使用されていました。9月27日に当院を初診されました。
つかまり立ちした子供さんは思いがけないところまで手を伸ばします。夏井先生の「新しい創傷治療」のサイトに子供さんのやけどの原因と予防法が掲載されています。http://www.wound-treatment.jp/new.htm#1208-3
以下転載です。
【飲食物による熱傷が多数を占める】
テーブルの上の味噌汁,コーヒー,紅茶などは子どもにとっては全て凶器となります。
「手が届かないと思って置いていた」と後悔される親御さんが多いです。「手が届かない範囲はない」と考えるべきです。子どもは触りたいと思ったらどんな手段を使ってでも手を伸ばして,ひっくり返します。
「手が届かない高さだと思って油断していた」という反省も多いです。つかまり立ちが始まると,手が届く高さが日毎に増していきます。乳児を甘く見てはいけません。
【炊飯器の蒸気,加湿器の蒸気】
子どもの手が届く高さにある炊飯器,加湿器は凶器です。
従来型の軟膏ガーゼによる熱傷治療では,水蒸気熱傷はあっという間に深くなり,植皮まっしぐらです。
【ティファール電気ケトルとその類似商品】
極めて危険な凶器です。
受傷パターンとして多いのは「テーブル・キッチン台の上でお湯を沸かしていて,子どもがコードを引っ張って落とす」です。ティファールはコードと台が一体型のため,コードを引っ張ると台も一緒に動き,しかも本体にストッパーがないものが多いため,広範囲熱湯となります。日本の家屋は電源コンセントが低い位置にあるためです(ヨーロッパではコンセントが高い位置にあるため,同様の事故は起きていないそうです)。
【ウォーターサーバー】
ストッパーなしで熱湯が出るタイプは凶器。
【ヘアアイロン】
パターンとして多いのは「使い終わったヘアアイロンを手が届かない所に置いていたのに,子どもがコードを引っ張って落とし」が大半。
【アイロン】
パターンとして多いのは「アイロンを使っている時に来客(電話)があってちょっと目を離したスキに子どもが」が多いです。
やけどをしたのは悲しいことでしたが、幸い害のある軟膏を処方されず、親御さんがプラスモイストの情報を見つけられたので痛みなく早く治りました。
つかもと内科 院長
平成5年鹿児島大学卒業
総合内科専門医、腎臓専門医、透析専門医