症例32:足の2度熱傷

42歳女性。12月24日にシチューの上澄みの油をこぼして右足をやけどされました。様子を見ていたが水ぶくれが出来てきたため他院を受診、エギザルべとガーゼの治療を受けられました。痛みが強くなったため1月4日当院を受診されました。

1月4日の足背。

白いのはエキザルベという軟膏です。べったりついています。

1月4日の足首内側。

エキザルベがべったりです。

1月4日のふくらはぎ。

こちらもエキザルベがべったりです。傷の観察は不可能です。

エキザルベをできるだけ洗い流した後、残ったままの水疱膜を除去しました。広範囲で浸出液が多そうだったのでズイコウパッドで覆いました。
足首もできるだけきれいに洗い流してプラスモイストで覆いました。
ふくらはぎも同様に洗って水疱膜を除去してプラスモイスト。

幸い前医が水疱膜をあまり取ってなかったので傷にエキザルベが直接触れずに済んでいたようです。

逆に考えると、水疱膜の上から軟膏を塗っても意味はなく、なんとなくエキザルベを塗らせていた事がわかります。

1月6日。痛みはかなり良くなったとのことでした。

足背はかなりの部分が上皮化していました。

ワセリン付きプラスモイストで被覆。

足首も水疱膜を除去したところは上皮化していました。このあと残っている水疱膜を除去しました。4日はエキザルベでよくわからなかった部分でした。

ワセリン付きプラスモイストで被覆。

ふくらはぎも血色良くいい状態の傷になっています。

ワセリン付きプラスモイストで被覆。

1月10日。痛みはなくなりましたが痒みが出てきました。

足背は治癒しており、こびりついていた古い水疱膜などを除去した所痒みが改善しました。

足首も一部を除いて治癒していました。
ふくらはぎはもう少しかかりそうです。

積極的に入浴して残ったいる水疱膜などをふやかして洗い流してもらいます。

1月17日。ワセリンとラップをあててこられました。痒みがあるとのことでした。

足背は少しあせもが出来ていました。

足首もきれいに治っていました。

写真では色が悪いですが、実際はもっときれいな肌色になっていました。

ふくらはぎも治癒しています。

ワセリンラップで蒸れて汗疹ができていましたので、ワセリンのみでしばらく保護していただくように説明しました。

エキザルベで痛みが出て受診された患者さんです。エキザルベやゲーベンはやけどの初期によく処方されますが、百害あって一利なし、痛くてやけどが悪化します。傷ややけどにあててよいのはワセリンや傷にくっつかない素材の被覆材だけです。

エキザルベ、ゲーベン、プロスタンディン軟膏、ユーパスタなどの軟膏やフィブラストスプレーが処方されたら使わずに当院へご相談ください。