症例48:手のひらの裂傷

44歳男性。11月16日に右手の平をブロックの角に引っ掛けて裂傷受傷されました。近医で縫合処置を受け、11月26日、27日に抜糸したそうですが、傷が治っていないとのことで12月3日当院を受診されました。

12月3日。

右手の中指~小指の付け根に裂傷があり、縫合した際に皮膚の断面がきちんとあっていなかったため傷はついておらず、硬いかさぶたに覆われていました。

ワセリンつきプラスモイストで覆ってふやかすことにしました。毎日ぬるま湯で洗って付け替えしてもらいました。

12月7日。

狙い通りかさぶたが柔らかくなっていました。

痛みもなく、ピンセットでかさぶたを取りました。

異物であるかさぶたが取れましたので、あとはプラスモイスト継続で治るのを待つだけです。

12月11日。

一部を残して治っていました。もうしばらくプラスモイスト処置をすれば完治です。

手のひらに指に近い部分は「no man's land(誰も手を出してはならない部位)」と言って怪我したりすると障害が出やすい部位です。幸い皮下の腱などに怪我が及んでいなかったので障害なく治りました。

皮膚を縫合する際は断面をきちんと合わせないとくっつきません。今回はブロックでの裂傷でしたので合わせるのは困難で、深さも浅かったようで最初から縫合なしの湿潤治療のほうが早く治ったと思われます。

かさぶたは人体にとっては異物です。かさぶたがついた傷は異物が食い込んでいるのと同じですので、異物であるかさぶたを除去しないとなかなか治りません。