2019年6月発行ニュースレター第25号「フクロウ型体質と起立性調節障害」

朝起きられず頭痛がして調子が悪い、立ちくらみがするなどの起立性調節障害とされる状態は不登校などの原因にもなっています。抗うつ薬や血圧を上げる薬が使われますがあまり効果は上がっていません。

当院では鉄やタンパク質欠乏などの栄養面からのアプローチを行っていますが、最近起立性調節障害は漢方医学で言う「フクロウ型体質」の一症状であるとの考えで治療を行う病院があり、成果が出ているとのことです。


フクロウ型体質とは?

人は早起きが得意で活気があり寝付きも良いヒバリ型と、朝が苦手で午後3時以降に元気になるフクロウ型に大別されるそうです。フクロウ型は寝付きが悪く、体力がなくて疲れやすく、肩こり・めまい・頭痛などに悩まされやすいそうです。起立性調節障害の症状とかなり似ていますね。

原因は?

夜更かしするからだなどといわれてきましたが、最近のイギリスの研究で、朝型か夜型かは体内時計に関連する遺伝子で決まっていてそれに逆らうのは困難ということがわかりました。夜型の人間が社会生活上朝早く起きることを強いられることで、フクロウ型体質に見られる不調が起きてくるようです。

フクロウ型体質の治療

朝は寝ていて夜に仕事や学校に行ければ一番良いのですがそれは難しいです。

鉄欠乏がある場合は鉄を補充することでかなりの改善が見られることがあります。また、タンパク質中心の食生活にすることも効果があります。 昨年から久留米大医療センターで「フクロウ外来」が始まったとのことで、苓桂朮甘湯などの漢方薬でかなり改善する場合があるそうです。当院でも栄養+漢方でより一層の改善を目指せると考えています。お困りの際はぜひご相談ください。

院長からもう一言

フクロウ型体質がはっきりしてくるのは小5~高3の間だそうです。女子の場合は生理で鉄欠乏が起きてくる時期に一致します。

女子は鉄の補充だけでかなりの改善がありますが、男子は鉄が十分な場合もあり、今後は積極的に漢方薬のアプローチを行っていこうと思います。

PDF版はこちら→第25号201906