症例70:糖尿病患者の足の裏のやけど

44歳男性。10年前から他院で糖尿病治療中でヘモグロビンA1cは8.5~11で推移していたそうです。8月20日に強い日差しで高温になったベランダを裸足で歩き、足の裏にやけどを負い、8月21日当院を受診されました。糖尿病による神経障害のため熱さに気が付かなかったそうです。

8月21日の左足底。

土踏まず以外水ぶくれができています。

8月21日の右足底。足の先の方だけ水ぶくれになっていました。
左足底の水ぶくれの皮を切除しました。2度のやけどに見えますがまだわかりません。

ワセリンを塗ったズイコウパッドで覆いました。

指までやけどしていました。
右足の残っている水ぶくれを切除しました。

こちらもワセリン付きズイコウパッドで処置しました。

浸出液が多そうで、家庭での処置も指導の上、ご本人の希望もあり、しばらく毎日通院していただきました。

8月24日の左足底。

38度の発熱がありました。感染兆候はなく、やけどへの反応と考えられました。

 

左足の先の方。まだやけどの深さははっきりしません。
左足の土踏まず・

浅かったようで、まだら状に上皮化してきています。

右足。

熱が伝わりにくかった部分から上皮化しているのがわかります。

処置を継続しました。

8月27日の左足底。

土踏まずはすっかり治っています。かかとと足先はまだまだです。体重がしっかりかかるところほど熱されて深いやけどになっています。

右足。

同様に、体重がかからない場所から上皮化しています。

処置は同じものを継続です。

8月31日の左足。

やけどは小さくなっていっています。

左足先。

親指側は色が悪く、深いやけどdったようです。

右足。

徐々に小さくなっています。

処置は同じものを継続です。

9月8日の左足。

かかとは順調に小さくなっています。足先も小指側は治ってきています。

左足先の親指側。白い壊死組織をある程度除去しました。色調が悪く心配な状態です。
右足。

こちらはあまり変化がなく停滞気味です。

9月15日の左足。

じょじょに小さくなっていっています。

左足先の親指側。

途中、硬い壊死組織を切除したのが良かったようで、肉芽が見えてきました。一安心です。

右足はこの頃はなぜが上皮化が止まって停滞状態でした。
9月23日の左足。

だいぶ小さくなりました。

左足の親指側。

良好な肉芽で覆われています。

右足は少しだけ小さくなりました。
9月28日の左足。

あまり変わってないように見えますが…

親指側の肉ががしっかり盛り上がってきました。

周辺も上皮化が進んでいます。

右足。

しばらく停滞していましたが、真ん中の方から上皮がでてきています。こうなるとあとは早いです。

ここからあとは週1回通院してもらいました。

10月7日の左足。

予想通りぐっと良くなっていました。

左足先の親指側を残すのみです。
右足。

予想通り急速に上皮化していました。

10月16日の左かかと。

治癒しています。分厚い角質がありますが、いずれ自然に取れていきます。

左足親指側。

深かったのでゆっくり治っていきます。

右足。

治癒していました。こちらも角質が覆っていますが、自然に取れていきます。

10月21日の左足。

更に小さくなりました。周囲の角質は取れています。

右足。

角質が一部取れています。

10月30日の左足。

もうあと僅かで治癒です。

右足。

角質が気になって自身で剥がそうとして出血していました。無理は禁物です。

11月12日の左足。

すっかり治っています。

色が紫っぽいのは、再生したてでまだ皮膚が薄いため、歩行などによりうっ血しているためと思われます。

触覚のテストでは知覚正常でした。

左足の先の方。

深かった親指側も他の部位同様知覚は正常でした。

右足。

傷も治り問題ありません。

糖尿病性神経障害による知覚低下が原因で起きた足の裏のやけどです。足の裏の広範なやけどで糖尿病の状態も悪く、非常に神経を使いました。

足底の皮膚は構造が特殊で植皮をしても歩行に問題はでてしまうと夏井先生のサイトには書いてあります。時間はかかりましたが、入院なし、植皮なしで知覚も正常に保たれた状態で治癒しました。糖尿病の状態が良ければもう少し早く治ったのではないかと思われます。