症例75「皮膚移植と言われた足のやけど」4年後の写真あり

51歳女性。3月5日に熱湯をこぼして右足の甲をやけどされました。近くの皮膚科で治療を受けられましたが痛みが強く、落ち着いたら皮膚移植が必要と言われたため、3月10日に当院を受診されました。

3月10日初診時。

ゲーベンと思われる白い軟膏が塗ってあり、水疱膜がかなり残っていました。

足先の方の白っぽいところは深い2度~3度、ほかは浅い2度のやけどと思われました

表面麻酔をした上で水疱膜を切除し、プラスモイストで被覆しました。

3月11日。

やけどの赤みが増しているのは血流が良くなった良い所見です。

痛みはまだあるとのことでした。

3月14日。

痛みはかなり改善。

浅いやけどの部分は上皮化して治っています。

白いところも壊死組織が溶けていっています。

3月15日。

痒みが出て受診。特に問題なく、シャワーで汚れを流すなどの対応をしてもらいました。

3月19日。

一番深かったところ以外は治癒していました。

深いところも順調に治っています。

ここで通院終了になりました。

4年半後。

家族の付添で受診されたときに写真を撮らせていただきました。

どこをやけどしたのかもわからなくなっていました。

やけどの治療は前世紀のやり方がいまだにまかり通っています。不適切な治療をされた上で皮膚移植で健康な部位にも傷をつけられ、傷跡が二箇所になって感覚も戻らないのに「治ってよかったですね」と言われる患者さんが気の毒です。

正しい治療を行えば、ほとんどの皮膚移植は不要です。