2021年10月発行ニュースレター第39号「便秘の治療について」

便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されており、「強くいきまないと出ない、便がいつも硬い、残便感がある、お腹を押したりかき出さないと出ない、週2回しか排便がない、腹痛がある」などの症状があると便秘症という病気と考えます。便秘は若い人では女性に多く、高齢になると男女差はなくなります。若い人でも2~5%、80歳を超えると10%の人が悩んでいる病気です。便回数減少型と排便困難型に大別されていますが両方の症状がある場合が多いです。


便の回数が少ない(便回数減少型)

週2回以下しか排便がない場合で、多くは便が硬くて出にくい症状を伴い、大多数の方はこのパターンになります。まずは食物繊維をしっかり取ることが重要です。食物繊維は水に溶けるものと溶けないものがあり、溶けるものは便を柔らかくし、溶けないものは便のかさを増やして腸を刺激し排便を促します。両者の比率が大事ともされており、溶けない食物繊維を多く含む葉物野菜やきのこと、溶ける食物繊維を多く含む海藻や納豆の両方を食べるようにしましょう。食物繊維の代わりになる薬もあります。食物繊維が十分摂れていても便秘が続く場合は、腹痛が起こりにくく調節もしやすい便の水分を増やすタイプの下剤を使います。

従来よく使われてきたセンナ(ピンクの薬)などの腸を刺激するタイプの薬は連用すると効かなくなったり腸に変化を起こしたりするため、上記の対策をした上で補助的に使う様になっています。何日も便秘が続くと腸が水分を吸収してどんどん便が硬くなってしまいますので、1~2日便が出なかった場合に使うのが良いようです。

便が出にくい(排便困難型)

便が硬くて出にくい場合は上に書いたように便を柔らかくする食物や薬で対応します。

便は柔らかいのに出にくくて症状がある場合は坐薬が効果があることがありますが、無効な場合は腸の病気が隠れていないか一度検査を受けたほうがいいとされています。

便秘の注意点

薬の中には副作用として便秘を起こすものがあり、特に咳止めや精神科で使われる薬で起こりやすいです。

一般的な便秘の治療で良くならない場合は腸の検査などを受けられることをおすすめいたします。

院長からもう一言

必要な食物繊維の量は1日18~20gですが、納豆1パックで3g、アボガド1個で12.2gとなかなか十分摂るのは難しいです。水溶性食物繊維は健康食品としても関心が高く、いろいろな商品があります。低分子デキストリンとイヌリンは粉末がネットで安く購入でき、細かい粉末で水に溶かして飲むと無味無臭です。

以前両方とも試したことがありますが、量が多すぎると大量のおならが出てお腹がゆるくなりすぎましたので加減が大事です。

PDF版はこちら→第39号202110便秘