2024年8月発行ニュースレター第56号「大人のおすすめワクチン」

大人が接種するワクチンとしてはコロナワクチン、インフルエンザワクチンなどが思い浮かぶと思われます。コロナワクチンは接種により発症と後遺症のリスクを下げることができますが年1~2回の接種が必要です。ほかにも接種すると利益が大きいワクチンがあり、当院で接種可能です。


13価肺炎球菌ワクチン(プレべナー13)・15価肺炎球菌ワクチン(バクニュバンス)

65歳の方は定期接種で23価ワクチン(ニューモバックス)を公費助成付きで受けられますが、23価ワクチンは持続期間が短く5年ごとの追加接種が必要になります。13価または15価→1~4年後に23価の順で接種すると免疫が最大化し以後の追加接種は不要です。65歳未満で未接種の方は65歳になってすぐに13価・15価ワクチンを自費接種しその約1年後66歳になるギリギリ前に23価ワクチンを公費で接種すると助成が活かせます。糖尿病や腎臓病がある方などは65歳未満でも接種できますので61~64歳で13価・15価ワクチンを接種して65歳になったらすぐ23価ワクチンを公費で接種するのが良いです。すでに23価ワクチンを接種した方は5年後の再接種の1~4年前に13価・15価ワクチンを接種しておくのが良いです。

RSウイルスワクチン(アレックスビー)

60歳以上が対象。日本では60歳以上の成人において、RSウイルスによって年間約63000人が入院し、約4500人が死亡していると推測されています。ワクチンにより発症・入院・重症化がそれぞれ1/5程度に軽減されます。効果は2~3年持続します。

帯状疱疹ワクチン(シングリックス)

50歳以上対象。2回接種が必要で高価(2回で42000円)かかりますが予防効果は90%以上で10年以上持続します。認知症の発症抑制効果があるという研究結果が出ています。

大人が接種し赤ちゃんを守るワクチン

妊娠中に罹患すると胎児が危険な風疹は妊娠予定の女性とその配偶者、昭和37年度~昭和53年度生まれの男性は公費での免疫検査や予防接種ができますのでぜひご相談ください。

新生児期にかかると危険なRSウイルスは妊娠中の母親に接種することで予防できるアブリスボというワクチンがあります。百日咳も輸入感染症として小流行が起きており、大人はかかっても頑固な咳が続くだけですが新生児がかかると重症化します。子供の頃に百日咳ワクチンは受けていますが、成人する頃には効果がなくなっていますので、新生児に会う予定のある大人はDPT(三種混合)ワクチンを1回対接種しておくと安心です。

院長からもう一言

ワクチンが普及しにくい要因の一つが値段です。新しく開発されたワクチンは1回2~3万かかってしまうものもあります。
当院ではプレベナー13が10000円、バクニュバンスが12000円、アレックスビー26000円、シングリックス1回21000円、DPT3500円(いずれも税込み)で接種しています。
ワクチンは高価に見えますが、実際に病気にかかったときの費用や危険性を考えると決して高くはありません。

PDF版はこちら→第56号202408大人のワクチン