2024年10月発行ニュースレター第57号「新型コロナの最新情報」
コロナについてはすっかり報道されなくなり皆さん終わったものと思われている節がありますが、全く終わっていません。コロナはただの風邪ではなく、全身の血管に炎症と血栓を生じさせ、脳などに長期にわたって感染し続ける慢性の全身疾患であることが明らかになってきています。
新型コロナによる死亡統計
コロナによる日本の死者数は2022年47638人、2023年38080人です。2024年は3月までしか公表されていませんが月に5000人前後亡くなっています。高齢の方がほとんどですが0歳~19歳の方も含まれています。
直接的に肺炎などで亡くなるほか、心筋炎、 脳炎、全身の血栓形成なども引き起こされます。高齢者の場合は急性期の症状が治ったあとに徐々に体が弱って亡くなる場合がかなりあります。
新型コロナ後遺症(Long COVID)
子どもから中年までの方はこちらが大きな問題になります。最も多いのが倦怠感の持続で以下、息切れ、認知機能の低下(brain fog)、嗅覚・味覚障害、心血管系・神経系の障害などが続きます。1回目の感染で14.6%、2回目で25.4%、3回目で37.9%の人に後遺症が生じるとされています。イギリスで行われた健康な未感染の若者への新型コロナ感染実験では鼻水1滴分相当のコロナウイルスにより被験者の半数に感染が成立、風邪症状が軽度だったにも関わらず感染した人達の認知機能低下が検査で明らかになり1年後も低下したままだったということです。このとき認知機能の低下を自覚できた人はいませんでした。新型コロナは吸入するウイルスの量が多いほど症状が悪化し後遺症が残りやすいのですが、少量のウイルスで感染して症状が軽度でも後遺症は起こるということになります。学業や仕事に多大な影響があり感染しないのが一番です。
感染予防・後遺症予防のために何をするべきか
ウイルスの量が少なければ感染は成立しづらいため、まずはマスクを正しくつけてウイルスを吸入しにくくすることが大切です。鼻を出していてはマスクの意味がありません。うがいや手洗いはその次です。ワクチンは感染予防効果は3ヶ月程度しかありませんが重症化予防効果は6~12ヶ月持続し、後遺症も減らしてくれることがわかっています。毎年1月と7月に流行が起きる傾向が強く、流行期の前にワクチンを打っておくのが良いと思われます。インフルエンザ同様毎年変異株に対応したワクチンを接種していくべきです。
院長からもうひとこと
みんながマスクを付けていた時期はインフルエンザを始めコロナ以外の感染症が激減していました。インフルエンザB型山形系統株はコロナ以降世界から根絶されたと考えられています。感染予防策の徹底で一つの病気が消えたのです。
マスクは自分がうつらないようにするとともに、他人にうつさないようにするためのものでもあります。換気の悪い屋内では可能な限りマスクを付けましょう。マスクは体の弱い他人を守ってあげるためにもなります。思いやりを持ちましょう。
PDF版はこちら→第57号202410コロナの最新情報
つかもと内科 院長
平成5年鹿児島大学卒業
総合内科専門医、腎臓専門医、透析専門医