2525年12月発行ニュースレター第64号「みんな大好き!湿布の秘密」
腰・肩・膝などが痛いときに湿布を貼ると楽になります。あちこち痛いとついたくさん貼ってしまいがちですが、湿布も立派な医薬品で正しく使わないと思いがけない副作用が起きたりします。
湿布について正しく理解し有効に活用しましょう。ちなみに湿布は日本では大変人気がありますが外国ではアジア圏で使われる程度で欧米では「湿布?ナニソレ?」となるくらい知られていません。
湿布の種類
湿布は形の違いとして白くて厚みのあるパップ剤と薄いテープ剤に分類されます。パップ剤は水分を含むので貼ったときにひんやりします。テープ剤のほうが剥がれにくく人気があります。痛み止めの成分を含むものと含まないものがありますが痛み止めを含むものが主流です。痛み止めの他に皮膚に冷たい感覚を与えるメンソールや温かい感覚を与えるトウガラシエキスを含むものもあります。
湿布はどのように効くのか
湿布を貼ると皮膚から痛み止めの成分が吸収されて鎮痛効果を発揮するとされています。湿布を1枚貼ったときの全身への作用は同じ成分の痛み止めを内服したときの1/3~1/10で、貼った場所の筋肉には高濃度で届くことで痛みが軽くなるとされています。ただし、筋肉内の痛み止めの濃度のデータは動物実験のものです。関節内の薬剤濃度は人のデータで血中濃度の1/3程度でした。内服時に比べて血中濃度が1/10程度ということから少なくとも関節の痛みに湿布内の痛み止めが直接届いているとは考えにくいです。それでも湿布を貼ると痛みが軽くなります。小さいときに痛いところをお母さんに撫でてもらうと痛みが軽くなった記憶がないでしょうか。医学的にはゲートコントロール理論といって皮膚からの弱い刺激によって痛みの刺激が脊髄でブロックされることで痛みを感じにくくなります。昔の湿布には痛み止め成分が入っておらず冷感や温感がするだけでした。皮膚からの温・冷感刺激やシップを貼ることそのものの刺激が痛みの改善にはたらいています。
湿布の使い方
湿布の利点は内服より全身への影響が少ないことですが、4枚以上貼ると内服と同じくらいの血中濃度になり腎障害などのリスクがあります。2枚程度にとどめましょう。1日効果が持続する湿布は12時間くらいで剥がしても効果は1日持続するので早めに剥がしたほうが皮膚のトラブルが少なくなります。
院長からもう一言
湿布は成分にかかわらずどれも効果はほぼ同じであるとの研究があり、皮膚への刺激が作用の主体ではないかと考えています。湿布のメーカーも工夫して痛み止めの吸収を飛躍的に良くしたロコアテープ、湿布ぽいが痛み止めの経皮吸収薬で痛いところには貼らないジクトルテープなどを開発しています。痛み止めの内服と違って胃潰瘍のリスクが減りますが腎臓などへの影響は同等です。上記の2つは特に使用法を厳守しないといけません。また、モーラスの成分は光線過敏を起こすことがあり当院ではおすすめしていません。
PDF版はこちら→第64号202512湿布のひみつ
つかもと内科 院長
平成5年鹿児島大学卒業
総合内科専門医、腎臓専門医、透析専門医


