症例90「熱い麦茶による足背のやけど」

75歳女性。7月9日に熱い麦茶をこぼして両足の甲をやけどされました。キズパワーパッドを貼っていましたが、以前にお孫さんが当院でやけどの治療を受けたことがあり、娘さんのすすめで7月12日受診されました。

7月12日初診時の右足。

破れた水疱膜(水ぶくれの皮)が残っています。

7月12日初診時の左足。

こちらも水疱膜が残っています。

水疱膜をできるだけ除去しました。
同様に水疱膜を除去しました。

左右ともワセリンを塗ったズイコウパッドで被覆しました。

足のやけどは痛みが出やすいのでできるだけ安静にして足を上げて過ごすよう説明しました。

7月13日の右足。

やけどが赤くなっているのは血流が良くなった所見です。周囲の正常な皮膚が赤くなっていないので感染ではありません。血流が良いほうが治りが早いです。

7月13日の左足。

同じくやけどの面の血流が良くなっています。

キズパワーパッドも治療としては悪くないですが密封気味になりやけどの面に圧がかかるのが良くないのか、ズイコウパッドやプラスモイストのほうがより改善しやすいように思います。

7月15日の右足。

痛みがありやけどの周囲の皮膚に発赤がありました。感染していると考えられ抗生剤(L-ケフレックス)を処方しました。

7月15日の左足。

こちらは周囲から上皮化(皮膚ができること)してきており問題ありません。

7月16日の右足。

発赤は改善していますがまだ少し残っています。

やけどの面は薄っすらと上皮化してきています

7月16日の左足。

15日より更に上皮化が進んでいます。

7月17日の右足。

発赤はほとんどなくなりました。

上皮化も完成しつつあります。ごく薄い皮膚が張っている状態です。

7月17日の左足。

第1趾は完全に上皮化しています。第2・3趾も順調です。

7月19日の右足。

ほぼ上皮化完了し治癒に近い状態です。

7月19日の左足。

こちらもほぼ上皮化完了です。

7月24日の右足。

新しい皮膚に厚みが出て完治です。

7月24日の左足。

こちらも完治です。

湿潤治療では毎日ぬるま湯でやけどや傷を洗い流してもらいます。それでほとんど感染は起きません。稀に感染が起きても、適切な抗生剤と処置の継続で速やかに改善します。