2023年12月発行ニュースレター第52号「ヒートショックにご注意を!」

ヒートショックという言葉をご存知でしょうか?

ヒートショックとは「急激な温度の変化により体に障害が起きること」です。代表的な事例が「お風呂からなかなか出てこないので見に行ったら湯船でなくなっていた」です。入浴中の死亡者数は年間19000人と試算されていますが、そのかなりの割合がヒートショックではないかと言われています。

ヒートショックで何が起きているか

体が冷気に触れると体温を奪われないように血管が収縮し血圧が上昇します。体があたたまると血管が拡張し血圧は下がります。冬場に脱衣所の気温が低いと服を脱いだときに急激に血圧が上がり、浴室も冷えていると更に血圧が上がります。そこで熱めの湯船にドボンと飛び込むと今度は一気に血圧が下がってしまいます。
血圧が急に上がったときには脳出血など起こす可能性があり、急に下がったときは脳梗塞や低血圧・不整脈による失神が起きたりしてそのままお風呂で溺れてしまうこともあります。お風呂でめまいや立ちくらみを感じたときは軽いヒートショックを起こしたと思ってください。

ヒートショックを予防しましょう

ヒートショックの予防は温度差に注意することに付きます。脱衣所や浴室がリビングより寒くないか注意し、寒い場合は脱衣所には温風ヒーターを起き、浴室は入浴前に風呂の蓋を開けてしばらく待つなどして温めましょう。
お風呂の温度も熱すぎないほうが良く、41度以下が安全です。入浴前にはあらかじめ水分を摂った方が良いですが、お酒は逆効果になります。家族にひと声かけて入浴すると万が一のときに早く見つけてもらえます。湯船に入るのは足先・手先から順にかかり湯をして体を慣らしてからにしましょう。10分以上の長湯もよくありません。お風呂から出るときに立ちくらみを起こして転倒する事故も多く、ゆっくりと立ち上がったり浴槽の縁に腰掛けたりする注意が必要です。
トイレもヒートショックが起きやすい場所です。服を脱ぐことのある場所は暖かくしましょう。
ヒートショックは高齢の方が起こしやすく、高齢のご家族がいるご家庭では浴室、トイレ、廊下などを暖かくする、入浴時は普段より長く出てこないときは様子を見に行くなどの配慮をお願いします。

院長からもう一言

現代の家屋は断熱性能がよくなりヒートショックの危険性は低くなっていますが、まだまだ入浴中の事故は冬場が圧倒的に多いです。
長年の習慣を変えるのは難しいですが、風呂の温度の見直しや飲酒して入らないなどの対応をご検討ください。
脱衣所や浴室用の暖房は安全な天井設置型を工事で取り付けてもらうのが一番です。

PDF版はこちら→第52号202312ヒートショック