症例91「油による手足のやけどと過湿潤による膿痂疹」

34歳男性。6月28日に熱い油で右手背と左足背をやけどしました。近くの皮膚科で抗生剤の軟膏とガーゼで治療を受けましたが痛みが強く、7月8日当院を受診されました。

7月8日の右手背。

浅い2度と思われますがガーゼと乾燥による二次障害で痛みが出ていました。

7月8日の左足背。

破れた水疱膜がそのままになっていました。

水疱膜を除去しました。

手も足もワセリンを塗ったプラスモイストで被覆しました。

7月24日の右手背。

ほとんど上皮化していました。まだ再生したてで薄い表皮なのでもうしばらくプラスモイストで保護してもらいます。

7月24日の左足背。

しっかり治っています。

8月31日に火傷の痕がただれているとのことで受診。

前回受診後ずっとワセリンを塗ったプラスモイストを当てていたそうです。

暑い時期のためワセリンつきプラスモイストで蒸れて感染を起こし膿痂疹になっていました。

ワセリンなしのプラスモイストのみの被覆にしてもらい、抗生剤(L-ケフレックス)を処方しました。

湿潤治療はトラブルが少ない治療法ですが、暑い時期は治った部位や周囲の正常な皮膚にかぶれや感染を起こす可能性はあります。当院の傷とやけどの治療説明書にも書いてあるとおり、「傷ややけどの面はしっとり、周囲はサラッと」が理想的な治療環境になります。