2023年8月発行ニュースレター第50号「コロナは終わっていません!」

新型コロナ感染症が五類感染症に変更になったことで「コロナは終わった。もう普通の生活でいい」と思っていませんか?五類になったのはある程度ワクチン接種が行き渡ったので「政府はもうコロナ患者の面倒はあまり見ません」と宣言したに過ぎません。新型コロナウイルス自体は変異を繰り返しながら全世界的に流行が続いています。死亡率こそデルタ株からは下がりワクチンでさらに重症化しにくくはなっていますが、後遺症が世界的に問題になっています。

現在の新型コロナのどこが怖いか

現在流行中の株の重症化率・死亡率は低くなっていますが、最初のアルファ株とは同じくらいです。重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある人達にワクチンが行き渡ったことで直接的にコロナでなくなる方は多くありません。ただし、ワクチン未接種の方は志村けんさんが亡くなった流行初期と同じくらいの危険にさらされていると思ってください。また、ワクチンはオミクロン株以降に対応したものを含め3回は打っておく必要があります。
今後徐々に社会問題になると思われるのがLong COVIDと呼ばれる後遺症です。最も多いのが倦怠感の持続で以下、息切れ、認知機能の低下(brain fog)、嗅覚・味覚障害、脱毛などが続きます。時間とともに改善はしますが1年後でも3割の人は症状が残り生活や仕事に支障をきたします。最近の研究で1回目の感染で10%、2回目の感染で20%の人に後遺症が生じるとされています。アメリカでは1600万人に後遺症が残存し、400万人が仕事ができない状態であると試算されています。

どのように生活すればよいか

いつまでも閉じこもっている必要はなく、「感染対策をしながら日常生活を取り戻しましょう」と言うのが本来の5類移行の主旨でした。ところがあろうことか行政までが「日常生活に戻りマスクも外そう」ととち狂った方針を取ってしまいました。明らかな間違いです。やるべきことはやらないといけません。
ワクチンは3回以上受けましょう。接種後6ヶ月以上経つと感染予防効果はありませんが重症化予防はできます。
人混みや公共交通機関ではマスクをしましょう。自分を守るためです。医療機関などでもマスクをしましょう。症状がなくても感染していればウイルスを撒き散らします。病気のある人にうつさないための思いやりのマスクです。マスクをしない人が増えたので手指衛生も重要になりました。

院長からもう一言

子供のコロナワクチン接種率が低いのが現在の最大の問題です。確かの子供の重症化率は低いですが、後遺症が問題になります。倦怠感や息切れで学校にいけなくなる、brain fogで勉強ができなくなるなどできれば避けたいです。ワクチンで後遺症を減らすことができますので、子供もワクチンを打ったほうが良いと思います。
コロナは呼吸器感染症ではなく中枢神経などに持続感染することが証明されています。調べれば調べるほど厄介でかかりたくない病気です。