2022年12月発行ニュースレター第46号「カルシウムよりマグネシウム」

これまで、積極的に摂りたいミネラルといえばカルシウムでした。カルシウム不足で骨粗鬆症になる、イライラするなどとされ、厚労省の国民栄養調査でも必要摂取量の600mgに対して平均560mgと唯一不足する栄養素とされてきました。ところが、海外ではカルシウム摂取は骨折の予防にならず、むしろ過剰摂取は胃腸障害、腎結石、心血管疾患の原因になるので薬やサプリでの摂取は避けて食事のみにしておくように勧告されています。カルシウムが足りなければ腸からの吸収効率が上がったりするので200mgでも足りるとの研究もあります。
逆に脚光を浴びているのが鉄とマグネシウムです。鉄は以前に取り上げましたので今回はマグネシウムについて厚生労働省のeJIMというサイトの情報を元にまとめました。

マグネシウムの働き

マグネシウムは体内の300種類以上の化学反応に必須のミネラルです。体内のマグネシウムの半分が骨に、残り半分が細胞中に存在するため血液検査で欠乏を確認する方法はありません。軽度のマグネシウム欠乏症では食欲不振、悪心、疲労感、脱力感などが生じ、悪化すると痺れ、筋痙攣、てんかん、人格変化、不整脈、狭心症を生じる可能性があります。過剰になると意識障害や不整脈を起こす可能性がありますが、腎不全状態でなければ危険なほどの過剰状態にはなりづらいです。
マグネシウム補充で改善する可能性があるとされる病気は①高血圧・動脈硬化②糖尿病③骨粗鬆症④片頭痛が挙げられています。マグネシムには筋肉や神経の緊張を緩める働きがありますので、こむら返りや肩こり、神経過敏などに効果がある場合があります。

マグネシウムの効果的な摂り方

マグネシウムの摂取目標は成人で260~360mgで、海藻、魚介類、穀物(玄米や全粒粉)、緑黄色野菜、豆類、ナッツなどに多く含まれています。豆腐など大豆製品が食事で摂りやすくおすすめです。
食品のみで十分なマグネシウムを摂ることは実は難しく、積極的に摂るならサプリメントになります。
病院で処方される酸化マグネシウムは吸収が悪く下剤としての効果しかありません。サプリメントも酸化マグネシウム主体のものは下痢するばかりで効果がありませんので、成分をよく見て酸化マグネシム以外の塩化マグネシウム・乳酸マグネシウムやクエン酸マグネシムなどが主体のものを選んでください。

院長からもうひとこと

当院院長も夜間のこむら返りやふくらはぎの筋肉痛に悩まされていましたが、マグネシムサプリを飲み始めたところほとんど起きなくなりました。
マグネシウムサプリは用量を守って使えば危険は少ないですが、腎不全の方はやめておきましょう。
また、抗生物質や骨粗鬆症の薬の吸収を妨げることがありますので飲む時間をずらさないといけません。

PDF版はこちら→第46号202212マグネシウム