症例29:乳児の炊飯器による指のやけど

1歳2ヶ月の男児。10月20日に炊飯器の蒸気で左手をやけどし、他院でフィブラストスプレー、ゲーベン、メロリンガーゼを使った治療を受けていましたが、湿潤治療を求めて10月30日当院を受診されました。

 10月30日。

左の人差指と中指に2度のやけどがあります。人差し指のほうが深めです。

ぬるま湯で洗ってプラスモイストをあてました。家庭でも同様の処置を行っていただきます。

 11月4日に38度の発熱があるとのお電話がありましたが、機嫌良いとのことで様子見て小児科受診をしていただくようお話しました。

写真は11月9日受診時。深い部分以外は上皮化しています。中指の方に少し瘢痕形成があるようです。同じ処置を継続します。

 

 11月18日。ほとんど上皮化しました。一部にかさぶた状のものが付着していますが、もうしばらくプラスモイスト処置を続けて下が上皮化すれば自然に取れると思われます。
 同じく11月18日。軽度の瘢痕化を認めますが現時点では指の曲げ伸ばしは出来ており、経過観察することになります。指がしっかり伸ばせないような状態になった場合は形成外科に紹介して手術が必要になります。指がしっかり曲げ伸ばしできれば手術は不要です。

炊飯器の蒸気はお湯より高温でやけどは深くなりやすく、しかも指にやけどしやすいので瘢痕拘縮が大きな問題になります。指が自由に動かせないと関節が固まってしまうので3~6ヶ月位のうちに手術をするのが望ましいとされています。