症例50:ピーラーによる皮膚剥離

43歳女性。11月25日にピーラーで左手の親指を怪我し、11月26日受診。

11月26日初診時。

血餅(血が固まったもの)がついており、皮膚はコの字に削がれていて丸まっていました。

局所麻酔薬のゼリーを塗って傷の表面を麻酔後、きれいに流してからピンセットで丁寧に丸まった皮膚を伸ばしてテープで固定しました。

プラスモイストを当てて、その上から皮膚が浮かないように綿球と弾性包帯で圧迫しました。

11月27日も受診していただき、皮膚はしっかりついたようでしたのでテープ固定とプラスモイストだけにしました。

11月30日。

皮膚は無事生着したようですが、辺縁の色がいまひとつで油断できません。

デュオアクティブETで被覆しました。

12月3日。

デュオアクティブETでは湿潤すぎてふやけた状態になっていました。色調は全体的に良好になっています。

プラスモイストに変更しました。

1月18日。

子供さんの受診の際に見せていただきました。すっかり治っています。

皮膚が剥がれた状態になる皮膚剥離は、一部が切れずに残っている場合は皮弁と言って、きれいに伸ばして貼り付ければ元通り生着する可能性があります。このとき重要なのは、めくれた状態にならないようにきれいに伸ばして固定することと、皮弁の下に出血したりしないようにしっかり圧迫しておくことです。

皮弁の根元の方は生着しやすいですが、端っこの方ほど血行不良になりますので生着しづらいです。今回は皮弁が小さめだったこともあり、きれいに生着しました。