2019年10月発行ニュースレター第27号「冷えとはなにか」

今年の夏は長く暑さが続きましたが、一気に気温が下がりそうです。気温が下がると「冷え」による症状が辛くなります。

「冷え」というものは漠然とした概念ですが、整理すると原因と対策が見えてきます。

今回は「冷え」について考察し、その対策をご案内します。


 

手足の末端の冷え

気温が下がると手足の指先の血色が悪くなり、じんじんしびれるような痛みが出る「末梢型の冷え」です。

この症状の主な原因は血行不良です。安静にしているときの体温の大部分は肝臓などで発生します。体の中心の熱が血液により手足の先まで送られますが、血行が悪くなると熱を運べません。

原因と対策は3パターンです。①<②<③でよくみられる原因ですが、3つが合併していることもあります。

①心不全のため末梢まで血液を送れない。対策:高度の心不全なのであらゆる方法で心臓を守る。

②手足の動脈に狭窄がある。対策:可能なら血管外科で動脈を広げてもらう。

③末梢の毛細血管がギュッと締まってしまっている。対策:血管を広げる薬を使う。当帰四逆加呉茱萸生姜湯などの漢方薬も有効ですが、重症だと西洋薬のほうが効果があります。

中心型の冷え

体全体が冷えて、寒がりになるのが「中心型の冷え」です。この症状の主な原因は代謝が低下していて体の中で熱がうまく作れないことです。お風呂に入ると症状が良くなるのも特徴です。

病気で有名なのは甲状腺機能低下症(橋本病)で、ホルモンの薬でよくなります。

病気が見つからない場合は西洋薬には改善させる薬はなく、漢方薬と栄養によって改善を図ります。

漢方薬は真武湯や八味地黄丸が使われます。重要なのは栄養で、蛋白質をたくさん摂ると代謝が上がり体内で熱が作られるようになります。MCTオイルと言う油も飲むとすぐ熱に変わり冷えが解消します。

PDF版はこちら→第27号201910