症例69:湯たんぽによる低温やけど

33歳女性。3月7日に湯たんぽで右のスネをやけどされ、病院でゲーベンやリフラップとガーゼで治療されていました。転居に伴い、5月15日当医院を受診されました。

5月15日初診時。

やけどしてから2ヶ月以上立つのにまだ白い壊死組織に覆われています。ガーゼで乾燥していたためいつまでも溶けずに残っていたと思われます。壊死組織は異物と一緒で、なくならない限りやけどや傷は治りません。

ワセリンを塗ったプラスモイストで処置を開始しました。1日1回お湯で流して付け替えるだけです。

 

5月23日。

わずか8日で壊死組織は自然に溶けて殆ど消えました。

赤いポツポツは肉芽です。これが増えて融合し平坦になったら皮膚が貼っていきます。

同じ処置を継続してもらいました。

6月13日。

周辺は皮膚に覆われています。順調です。

処置継続してもらいました。

6月26日。

浸出液が出なくなったとのことで受診されました。

すべて皮膚に覆われており、治癒です。しばらくは乾燥防止にワセリンだけ塗ってもらいます。

 

低温やけどは「低温でじっくり中まで熱が通る」ため3度の深いやけどになります。深いやけどで大事なのは、壊死した組織を早く除去することです。メスなどを使って無理の取る必要はなく、湿潤治療を行っていれば自然に溶けて取れていきます。

低温やけどは深いやけどなので、どうしてもあとが残りますが、時間が経てば徐々に目立たなくなっていきます。