症例85「幼児のコーヒーによる腕のやけど」

2歳女児。1月3日にコーヒーをこぼして右前腕をやけどしました。近くの病院で処置を受けていましたが、処置のたびにひどく泣いて暴れたそうです。湿潤治療を受けたいと相談したところ、その病院も湿潤治療をしているといわれたそうで、ネットで検索して1月8日に当院を受診されました。
前の病院では消毒してフィブラストスプレーを噴霧してメロリンガーゼを当てていたそうです。

1月8日の前腕内側。

フィブラストスプレー使用時特有の腫れぼったい感じになっています。

1月8日の前腕外側。

同じく腫れぼったい感じです。

ぬるま湯でそっと流したあと、ワセリンを塗ったプラスモイストで被覆しました。

1月9日の前腕内側。

昨日受診後はいたがったりはなかったとのことでした。

肉芽の腫れぼったさがなくなっています。

1月9日の前腕外側。

一気に上皮化が進んでいました。

1月12日の前腕内側。

ほとんど上皮化して治っています。

1月12日の前腕外側。

赤みはありますがほぼ治っています。

1月16日の前腕内側。

皮膚の厚みも増してきて、もう数日保護して治療終了です。

1月16日の前腕外側。

同様に経過良好です。

2月9日の前腕内側。

赤みがあって保育園で預かってもらえないと相談に来られました。

やけどは完全に治っています。

2月9日の前腕外側。

しばらく赤みが残ったあとに白っぽくなり、半年くらいでほとんどわからなくなると思われます。

当然もう保育園で普通に生活できます。

消毒とフィブラストスプレーは強い痛みをもたらします。メロリンガーゼは傷に貼りつかないと思っている医師がいますが、ただのガーゼよりマシな程度で乾燥させて貼りつきます。いずれも湿潤治療とは対局にある治療になります。
やけどや傷になにか薬っぽいものを塗りたがるのは医師の強迫観念です。乾燥させず邪魔さえしなければ自力でよくなります。