2023年2月発行ニュースレター第47号「決定版!ドライスキンの原因と治療」
これまで2回、保湿や冬場のかゆみについてまとめました。その後情報が増えて来ましたので決定版としてまとめ直しました。皮膚の乾燥によるかゆみ、手荒れの原因と治療はこれで決まりです。
健康な皮膚の構造
画像:全薬工業株式会社ホームページより改変
真皮の上を表皮が覆っており、その上を皮脂膜が覆っています。真皮のすぐ上で分裂増殖した表皮細胞は皮膚表面に近づくに連れ成熟・老化し、表皮の外層は死んだ表皮細胞が折り重なった角質層になっています。古くなった角質層は垢として剥がれていきます。最外層の皮脂膜とその下の角質層が外からの刺激や乾燥から生きている細胞を守り、真皮から供給される水分を表皮に留める働きをしています。
ドライスキンの構造
画像:全薬工業株式会社ホームページより改変
皮膚の乾燥は表面から進行します。
①皮脂膜が破綻する:老化により皮脂の分泌が低下する上に、皮脂を溶かして剥がしてしまう物質を塗ることで生じます。石鹸・すべてのクリーム・消毒薬は皮脂・角質に害があります。
②角質層が荒廃する:皮脂の保護がなくなった角質層は乾燥や外部刺激でぼろぼろになっていきます。すでに死んだ細胞ですので新たな角質細胞に置き換わらない限り改善はしません。
以上を踏まえると、乾燥肌の治療にクリームやローションの保湿剤を塗るのは有害なだけであることがわかります。皮脂だけでなく角質細胞同士の結びつきも剥がしてしまいます。
ドライスキンの治療はシンプルです。
①失われた皮脂の代わりにスクワランやワセリンなどの純粋な油を塗る。スクワランが最も皮脂に近い油です。石鹸は使わず、絶対にゴシゴシ擦ったりしないで下さい。。
②①を継続して傷んだ角質層が健康な角質層に置き換わるのを待つ。子供で4週、高齢者で8週。
つかもと内科 院長
平成5年鹿児島大学卒業
総合内科専門医、腎臓専門医、透析専門医