2016年12月発行ニュースレター第10号「低温やけどにご注意を」

湯たんぽやホットカーペット、ファンヒーターなどで気が付かないうちにやけどをする「低温やけど」は、「低温」とついているので大したことがなさそうに思えますが、実はとても治りにくいやけどです。暖房器具を使う冬場に多いので注意が必要です。
熱さを感じない温度でのやけどですので、熱いやかんを触ったときなどのように逃げる動作が起きません。そのため低温とは言え、熱が「長時間かけてじっくりと奥深くまで」傷害しますので大変深いやけどになります。

原因

寝ているときに起こることが多いです。ホットカーペットの上で寝てしまった、ファンヒーターの前で寝てしまった、布団の中で湯たんぽが足に当たったままだった、などです。
特にお酒を飲んだ後のうたた寝に注意が必要です。また、子供さんや介護が必要なお年寄りは家族が注意してあげないといけません。
使い捨てカイロによる低温やけども多いですが、熱量が少ないので赤くなるくらいで済むことが多いです。

対策

ホットカーペットの温度は上げすぎない、ファンヒーターは部屋のできるだけ隅に置く、湯たんぽは寝るまえに布団を暖めるのに使い寝るときには布団から出す、などうっかりしても大丈夫なような習慣をつけましょう。
使い捨てカイロは直接肌に触れないように使いましょう。薄い肌着1枚の上からでもやけどします。

治療

赤くなっただけであればステロイド軟膏を塗る程度でおさまります。
長 時間かけて深くやけどした場合は、最初は軽そうに見えてもすでに深くまで傷害されていますので、時間とともに皮膚が黒く深く壊死してしまい、適切な処置を しても治るのに2~3ヶ月かかります。処置が悪ければいつまでたっても治りません。皮膚移植は少し早く治りますが、皮膚を採取したところにも傷が残り、移 植を受けた所も正常の皮膚の状態にはなりません。

PDF版はこちら:vol10_201612