2017年2月発行ニュースレター第11号「子供も大人も!鉄欠乏かもしれません」

「鉄欠乏」といえば、女性の貧血の原因として有名です。鉄欠乏がない若い女性はほとんど居ないとされています。
一方、意外なことに子供の鉄欠乏もかなり多いことがわかってきています。
鉄欠乏といえば貧血が浮かびますが、貧血がなくても「なんとなくだるい」「朝起きられない」「すぐキレる」などの原因不明の不調も鉄欠乏が原因で起きます。

原因

女性は生理による出血のため慢性的な鉄不足です。さらに、妊娠出産時には赤ちゃんに大量に鉄が移動しますので高度の鉄不足になりがちです。産後うつの原因のひとつと言われています。食事だけでは追いつきません。
子供は離乳食に鉄が足りない場合が多く、成長期には体の成長に鉄の摂取が追いつかず不足状態になります。特に女の子は更に生理が始まるので思春期には高度の鉄不足になります。

症状

有名なのは「鉄欠乏性貧血」で疲れやすい、息が切れるなどの症状が出ます。しかし、貧血がなくても鉄は筋肉やエネルギーを作り出すミトコンドリアなどで重要な働きをしているため、様々な症状が起こります。
「イライラしやすい」「集中力がない」「朝起きられない」「疲れやすい」「すぐキレる」「冷え性」「頭痛」「むずむず足症候群」「異食症(氷を好んで食べるのが典型的)」「パニック障害」「神経過敏」などなど
ADHDやパニック障害を鉄と蛋白の補充で治療して良い成績をだしている精神科の先生もおられます。

治療

まずは採血で鉄が足りているか調べます。フェリチンが50未満だと明らかな鉄欠乏で、出来れば100以上を目指します。鉄の薬を使うかサプリメントを飲んでいただくかですが、鉄の薬で吐き気がする方も小児用シロップなら飲めることが多いです。
同時に食事のたんぱく質(肉・魚・卵)を増やすのも重要になります。野菜の鉄はほとんど吸収されません。
離乳食はおかゆなどではなくレバーペーストや卵や鶏ミンチなどを取り入れるのが良いです。

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