2017年6月発行ニュースレター第13号「気になるむくみ~原因と対策は?」

むくみはよく見かける症状ですが、原因は様々です。
大きく分けると、内臓疾患によるもの、血管やリンパ管の障害によるもの、ホルモン異常によるもの、原因のよくわからないもの、となります。
それぞれ対策・治療が異なりますのできちんと鑑別することが大切です。
腎臓専門医・総合内科専門医である院長に是非ご相談ください。

内臓疾患によるむくみ

いずれも軽度の異常ではむくみません。減塩と薬での治療が必要です。

心性浮腫:心不全を起こすと全身の浮腫が起こります。むくみだけではなく、息切れや疲れやすさなどを伴います。レントゲン・心電図や心エコー検査で診断します。
肝性浮腫:腹水がたまるような状態まで肝臓が悪くなるとむくんできます。血液検査や腹部エコーで診断します。
腎性浮腫:腎臓がかなり悪くなるとむくみますが、特にたくさん蛋白が尿にでるネフローゼという病気では初期症状がむくみになります。尿検査や血液検査で診断します。
血管やリンパ管の障害によるむくみ:悪い方の足だけに起こるのが特長です。
静脈性浮腫:静脈炎などで血液の戻りが悪くなることで起こります。痛みがあるときは入院治療が必要です。
リンパ性浮腫:手術などでリンパ管が障害され起こります。寝ても改善しません。マッサージなどで対応します。

ホルモン異常によるむくみ

甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンが欠乏すると押してもへこまない浮腫が起きます。寒がりになったり活気が無くなるのも特長です。血液検査で診断でき、薬で元気になります。
月経随伴浮腫:生理前から生理中にかけては体重が少し増えてむくみやすくなります。特に治療法はありません。

原因のよくわからないもの:最も多いむくみで、ほぼ女性にしか起こりません。

特発性浮腫:上記の原因がなく、夕方になると足がむくむ場合はこの分類になります。薬の副作用なども除外する必要があります。弾性ストッキングや減塩で対 応します。一般的な利尿薬は禁忌です。症状が強い場合は漢方薬や、スピロノラクトンという特殊なタイプの利尿剤で対応します。

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