症例10:大人の腕の低温やけど

30代女性。12月26日に左前腕を湯たんぽで低温やけど。他院でゲーベンなどで処置を受けていましたが壊死した皮膚が黒くなり、1月11日に黒くなった ところを除去されて茶色いもの(イソジンゲルかユーパスタ?)を塗られたがすぐに取れてしまい、1月13日に当院を受診されました。

1月13日初診日の状態。
壊死組織は除去されていましたがその後の処置が良くなく、傷が乾燥していました。
ワセリンを塗ったプラスモイストで被覆。
毎日洗って付け替えをしてもらいました。
1月17日。
この日は来る前にプラスモイストが剥がれてしまって受診時に少し乾燥していました。
水仕事をすることもあるとのことで、濡れそうなときはデュオアクティブET、大丈夫なときはプラスモイストでしっかり保護するようにしてもらいました。色素沈着を認めますのでシナール内服もはじめました。
1月24日。
周辺から少し上皮化してきています。肉芽も増えてきています。
右下の小さい部分はかなり治っています。
2月10日。
インフルエンザにかかったりしてしばらく受診できなかったそうです。
ご自身で上手に処置を続けられ、治癒されていました。
色素沈着が残りましたのでシナールをもうしばらく服用していただきます。

冬の低温やけどは湯たんぽによるものが多いです。体温やけどは深くまで熱が届いてしまうので水ぶくれではすまず、皮膚が黒く壊死してしまうことが多いで す。うまく処置をして壊死組織を早めに除去するのが治療の第一歩になります。その後は傷が肉芽で埋まるまでが第二段階、肉芽で埋まったら周囲から皮膚の細 胞が覆っていってくれるのが第三段階で、その間辛抱強く湿潤療法を続けながら待つことになります。
治った痕はどうしても色素沈着が起こりますが、時間とともに薄くなっていきます。