症例12:幼児の太もものやけど

4歳男児。2月27日にインスタントスープを作ろうとしてお湯で左太ももをやけど。他院で処置を受けていましたがフィブラストスプレーを使われたりして、たいへん痛い思いをされたようです。また、今後どうなるかの説明がなかったので本人もお母さんも不安になっていました。

3月2日初診日の状態。
太ももの外側~後ろのやけど。
他院での処置が今ひとつだったのか熱傷面が白っぽくなっています。
お尻のやけどが痛くて座れない状態でした。
同じく3月2日初診日の状態。だいたい全面のやけど。
水ぶくれが破れていますが皮がそのまま残っていました。感染源になるので、痛くないよう気をつけて除去しました。すべてワセリン付きプラスモイストを当てました。
どの火傷も浅い2度熱傷ですので7~10日で治り、あともまず残らないと説明し安心していただきました。
3月3日の外側~後面。
やけどの面はきれいなピンク色になりました。血流が良いいい状態です。
痛みもなくなっていました。
ワセリン付きプラスモイストを継続。
3月3日の前面。
こちらもいい状態です。
ワセリン付きプラスモイストを継続。
3月6日の外側~後面。
上皮化が進んでいます。
周囲の健康な皮膚の方にかぶれが起きてきていますので蒸れないように注意が必要です。
痛みはなく、幼稚園にも行けるようになりました。
ワセリン付きプラスモイストを継続。
3月6日の前面。
こちらも周囲から上皮化していますが、周りの皮膚にかぶれが見られます。
ワセリン付きプラスモイストを継続。
3月7日の外側~後面。
ほとんど上皮化完了しました。一部乾燥が強いのと、周囲のかぶれが強まったのが問題です。
健康な皮膚に被覆材がかからないようにやけどの部分だけを被覆しました。乾燥気味のところはデュオアクティブETで、上皮化しているところは保護のためワセリン付きプラスモイストで被覆しました。
3月7日の前面。
上皮化完了まであと少しです。乾燥気味なのでデュオアクティブETでやけどの面だけ被覆しました。 

かぶれて痒いところにはステロイドの軟膏を処方しました。

3月9日外側~後面。
かぶれも軽くなり、やけども上皮化完成していました。治癒です。
まだ再生したてで弱い皮膚なので、あと2~3日デュオアクティブETで保護します。
3月9日前面。
こちらも治癒しています。同じく2~3日保護して治療終了です。 

今はまだ赤みがありますが徐々に普通の皮膚の色になります。

他院で治療を受けたあと当院を受診された患者さんは「やけどの治療は痛い」と思われていて、処置前に大変不安がられています。この患者さんのようにフィブラストスプレーまで使われていると相当痛かったと思われます。
実際は痛い処置は一切しなくても(というよりはしないほうが)早く治ります。この患者さんも2回目からは痛くないのがわかっているので安心して処置を受け られました。また、ぬるま湯で流してプラスモイストを貼るだけで、ご家庭でも簡単に処置できますので通院も毎日でなくて大丈夫です。
6歳以下のお子さんは治療中にかぶれが起きることが多いのが悩みですが、できるだけ火傷や傷の面だけ覆って、健康な皮膚は覆わないようにするのがコツだと思います。