症例16:親指のひょう疽・皮下膿瘍
50代男性。4月13日仕事中に左手親指の先と爪の一部をカッターで切り落としてしまい、現場近くの整形外科で縫合、消毒とガーゼで治療されましたが痛み が出て4日目で抜糸されたそうです。その後自宅近くの整形外科で、ラップで覆う治療を受けたそうですが痛みが強くて夜も眠れないほどとのことで4月25日 当院を受診されました。
指先をカッターやスライサーで切り落としてしまう事故はよくあります。出血は多いですが、止血できれば後は湿潤治療で早くきれいに治り、ほとんどあとは残りません。
今回の患者さんは最初に不適切な縫合を受けた上に、その後診た2件目の医師も感染に対して痛み止めを出すだけで排膿などの処置をせず、強い痛みで大変苦しい思いをされました。
指の腹の部分は構造が複雑で、そこに感染が起きた場合をひょう疽といい、治りにくいとされています。典型的には指の腹の部分をざっくり大きく切らないといけないのですが、流石に内科開業医ではそこまでの処置は難しいため専門である形成外科(ココ重要です。整形外科ではありません)へご紹介しました。幸い、肉芽の部分を追加切開していただいただけで良くなりました。
最初から湿潤治療できていれば、10日程度で治ったと思われますが、こじれてしまってかなり長い治療期間になってしまいました。
つかもと内科 院長
平成5年鹿児島大学卒業
総合内科専門医、腎臓専門医、透析専門医