症例3:大人の足の低温やけど

湯たんぽで右のすねに小さな水疱ができ、皮膚科で1ヶ月ゲーベン軟膏とガーゼで治療を受けましたが治らず。「植皮するかこのままの治療を続けるしかない」と言われ、当院を受診されました。
当院ではすべてプラスモイストだけで治療しました。

やけどして28日目(初診日)。
壊死組織がそのままで、反応して周囲の皮膚が赤くなっています。
痛みや出血がない範囲で壊死組織を除去しました。
後は入浴やシャワーは自由で、ご自身でプラスモイストを交換していただきました。
40日目。
残っていた白い壊死組織がとけて減っていき、ピンクの肉芽組織が見えてきています。
肉芽組織が見えてくれば順調な証拠です。
53日目。
深い火傷でしたが、ゆっくりですが肉芽組織でほぼ埋まってきました。
この頃は肉芽の上にフィブリンの膜ができてその上に薄い上皮がはってしまうニセの上皮化が起きやすいので注意が必要です。ニセの上皮化はすぐに破れてしまいます。しっかり肉芽で埋まってからの上皮化が重要です。
88日目。
しっかり上皮化して治癒しています。
多忙でしばらく受診できなかったので、おそらく1週間以上前には治癒していたのではないでしょうか。
3ヶ月位紫外線を避けていただきます。また、未熟な皮膚ですので乾燥にも注意が必要です。

湯たんぽやホットカーペットなどによる低温やけどは長い時間かけて深いところまでやられますので治るのに2~3ヶ月かかることが多いです。壊死してしまった組織は少しずつ除去する必要がありますので、特に最初の間は医療機関での適切な治療が必要です。
湿潤治療なら家庭での処置も簡単で気長に治療できるため、皮膚移植などしなくても治っていきます。足の甲の直径5cmほどの低温やけどもきれいに治した経験があります。