症例6:小児の膝の皮膚剥離

10歳女児。逆立ちをしていて転倒し、右膝をぶつけて2.5cm×1.5cm皮膚が剥離してしまいました。手持ちのハイドロコロイドを貼って、翌日受診されました。

真皮層で剥離した皮膚がめくれこんでいます。このままだと傷を露出したままですし、めくれこんだ皮膚は生着しません。
浸出液が多かったのでハイドロコロイドでは吸収しきれず周囲の皮膚もふやけています。
表面麻酔をした後に、ピンセットでそっとめくれこんだ皮膚を伸ばしました。
上の写真と比べてみてください。
傷を皮膚でほとんど覆えています。
ずれないようにテープでしっかり固定します。この上からプラスモイストで覆いました。
テープは長いまま使うようにというのが夏井先生の教えですが、自宅でプラスモイストを付け替える際に、テープが長いとやりにくいことがあるので短めにしました。
2日後。
皮膚は生着しましたが、表面の表皮の部分は虚血に弱いので脱落しそうな感じです。
真皮は虚血に強いので大丈夫です。真皮が生着さえすれば傷としてはかなり良好な経過といえます。
この後予想通り表皮が薄く壊死して浅い傷になりました。残念ながら写真を撮りそこねました。
12日後。
上皮化が進んで後は中心のわずかな部分を残すのみです。
浸出液も減って乾燥気味でしたので、デュオアクティブETに変更しました。後数日で治癒すると思われ、治療終了としました。

皮膚がペラっとめくれてしまう皮膚剥離は高齢の方に多いのですが、強い力が加わると若い方でも起きます。大事なのは皮膚がめくれこんでいないかよく確認 し、しっかり伸ばして固定することです。そうすることによって皮膚が再度生着すれば傷としてはかなり軽症化することが出来ます。