症例8:幼児の顔のやけど

2歳男児。淹れたての紅茶をかぶってしまい顔と左腕をやけどして翌日に当院を受診されました。やけどした当日は救急病院で処置を受け、左腕は顔を触らないようにがっちりギプス固定されていました。

初診日の左頬の状態(やけどした翌日)。
水疱の膜は除去してありました。
エキザルベを塗るように言われていたそうですが、プロペトを塗っていたとのことで幸いでした。
初診日の額の状態(やけどした翌日)。
日焼け跡の皮膚がむけかけたような状態です。水疱ができないくらいの浅い2度熱傷で見られる所見です。
両方共デュオアクティブETを貼りました。これだけでOKです。ご家族でも簡単に処置できます。ふやけたら早めにはり替えてもらいます。
左腕は1~2cmの小さな火傷が数か所でしたのでデュオアクティブETを貼り、自由に使えるようにしました。
翌日の様子。
デュオアクティブにくっついて額の日焼け状のところや頬の残っていた水疱膜も取れました。
額はすでにかなり上皮化していました。頬も1/5くらいは上皮化していました。
さらに3日後。(やけどして5日経過)
数回自宅で処置をされました。
額は完全に治癒。頬も赤みはありますがしっかり皮膚がはっていて治癒の状態です。デュオアクティブETでもう少し保護してもよいのですが、本人が嫌がったのでワセリンで保湿するのみとしました。
やけどして2ヶ月目の写真を送っていただきました。
1ヶ月目まではまだ目立っていたそうですが、その後どんどん目立たなくなってきているそうです。
治った後の長期的な経過観察はなかなか出来ないので参考になります。

顔のやけどは心配なものですが、血流が良いので正しい治療をすれば早く治ります。最初にエキザルベを塗らずにプロペトを塗っていただいたのも良かったと思われます。
小さいお子さんがやけどやけがをすると、分厚くガーゼを当てた上からギプスを当ててガチガチにしてある処置をよく見かけます。骨折しているならともかく、 やけどや傷の治療で固定をすると発達にも影響を与えかねませんし、傷のこまめな観察も出来ませんので不要と思います。家庭でもできる処置で早く治るのは湿 潤治療ならではです。