2018年4月発行ニュースレター第18号「甘くみないで!脂肪肝(炎)」
健診のシーズンです。結果はいかがだったでしょうか?
血圧や血糖値が高かった方はぜひ当院にご相談ください。
「肝臓の数値が高かったんだけどなにがどう悪いのかよくわからない」
今回は健診で肝機能異常を指摘されたらどうすればよいかご説明します。
健診の血液検査の見方
AST(GOT)とALT(GPT):肝臓の細胞が壊れると血液中に出てくる物質です。正常な人でも新陳代謝で一定の数の肝細胞が壊れて再生していますので、20前後が正常値になります。数値が高いのはそれだけたくさんの肝細胞が壊れて再生を繰り返しているということで望ましいことではありません。高い状態が続くと肝硬変になる可能性があります。
γGTP:胆道系酵素と言って、胆汁の通り道である胆管の状態に関連して上下する数値です。お酒や薬を飲んでいると酵素誘導と言って数値が上がります。
数値が高いときにどんな病気が考えられるか
ウイルス性肝炎の可能性があり、一度はB型肝炎・C型肝炎の血液検査をおすすめします。福岡市在住の方は無料で検査できます。ウイルス性肝炎は治療薬が非常に進歩しており楽に確実に治せる時代です。
一番多いのは脂肪肝です。超音波(エコー)検査で肝臓が白っぽく見えれば確定です。AST・ALTが高くなっている脂肪肝は脂肪肝炎と考えたほうが良く、ウイルス性肝炎と同様に肝硬変や肝臓癌になる危険があります。
脂肪肝の治療
有効な薬はありません。「やせなさい」としか言わない医師もいますが大変無責任な態度です。脂肪肝の原因は主に2つ。糖質(炭水化物)とお酒です。まずはどちらかを思い切って減らせば1~3ヶ月でかなり改善します。脂肪肝で肝臓に沈着する脂肪は食事から入ってくる脂肪ではなく、糖質から肝臓内で合成された脂肪なのです。アルコールは肝臓内での脂肪合成を促進します。
実際に糖質制限により血液検査だけでなくエコーの所見も改善した患者さんもおられます。
PDF版はこちら→vol18_201804
つかもと内科 院長
平成5年鹿児島大学卒業
総合内科専門医、腎臓専門医、透析専門医