症例37:足の甲のやけど

44歳女性。3月26日にパスタを茹でたお湯をこぼし右足の甲をやけどされました。近くの医院でゲーベンクリームを処方されましたが、塗ると強い痛みがあり4月6日当院を受診されました。

4月6日当院初診時。

白いゲーベンクリームがべったりくっついています。ゲーベンクリームは組織を傷害して痛みを起こしやけどを深くしてしまう上に、べったりくっついてなかなか取れない厄介なものです。

ゲーベンクリームをなんとか洗い流したあと。

大部分は浅い2度の火傷ですが、まだら状に黄色くなっているところは壊死組織で3度の火傷と思われます。

浸出液が多いことが予想されましたので、ワセリン付きのズイコウパッドで覆いました。

家庭でもぬるま湯で流して同じものを当てていただきました。足のやけどは歩くと痛みが出やすいのでできるだけ安静にしていただくよう説明しました。

4月13日。痛みは歩くと少しある程度だったそうです。

深いところ以外は治っており、深いところも壊死組織が自然に取れて治っていましたが、2箇所まだ残っていました。

入浴なども積極的に行い、壊死組織をふやかして取れやすくするようにしていただきました。同じ処置でもうすぐ治りそうとのことで治療終了になりました。

 

やけどに対してゲーベンクリームがよく処方されていますが、いいところが一つもない薬です。最初から湿潤治療ができていれば痛みも少なく、早く治るのですが、未だに処方されており患者さんがお気の毒です。