症例52:猫の噛み傷

67歳女性。糖尿病などで当院通院中で、2月14日に猫に左手を噛まれ翌15日に受診されました。

2月15日。

猫の歯は細く、傷は見た目は小さいですが深いことが多く注意が必要です。傷の周りに発赤があり、感染が起きています。

局所麻酔をしたあと傷を塞いでいるかさぶたを除去しました。

その時点では傷の奥行きは浅いようで、傷が塞がらないようにワセリンを多めに塗り込んでプラスモイストを当てました。

抗生剤も処方して服用していただきました。

2月18日。

腫れて赤くなったとのことで来院。

発赤の面積は減っていましたが、傷の周囲は悪化していました。

局所麻酔をして傷を探ると、7mmくらいの深さがあることがわかりました。

ナイロンの糸をこより状にして傷の中に入れました。ナイロン糸ドレーンという方法です。こうすることで傷の奥に細菌が溜まったままにならず感染が治まっていきます。抗生剤も再度処方しました。

2~3日こよりが抜けなければあとは抜いても大丈夫と説明し自宅で処置をしてもらいました。

4月4日。

すぐ良くなったとのことで、糖尿病の定期通院のときに治ったところを撮影させてもらいました。

動物の歯にはたくさんの菌がいますので、噛み傷はとても化膿しやすいです。感染の危険は人>猫>犬とされています。

猫の噛み傷はきりで指したような状態になりやすく、傷口が小さくて奥行きが深い傾向があリます。そういう傷は奥深くに細菌が巣食ってしまい可能しますので、細菌を外に追い出せるようにナイロンの糸などで道を開けておく(ドレーン)事が必要になります。

今回は初日にもっと奥深くないか探るべきだったという点で反省すべき症例でした。