症例55:幼児のお腹と太もものやけど

2歳女児。6月25日夜にカップラーメンのお湯でお腹と太ももをやけどされました。夜間急患センターで消毒とエキザルベ処置を受け、6月26日に当院を受診されました。

6月26日のお腹の全体像です。

破れた水ぶくれの皮(水疱膜)が残っています。

お腹の上の方。
お腹の下の方。

お腹は全体的に浅い2度のやけどのようです。

破れた水ぶくれの皮(水疱膜)が残っていますが、怖がらせてはいけないのでこの日はそのままにしました。

6月26日の右太もも。

こちらは少し深そうで、深い2度のやけどと思われました。

火傷の面積に応じて、広いところはズイコウパッド、狭いところはプラスモイストを当てました。両方ともワセリン付きです。自宅では1日1~2回シャワーで流して同じ処置をしてもらいました。

6月28日の上腹部。

周りの皮膚に発赤などなく順調です。

同じく下腹部。

こちらも経過良好です。

可能な範囲で水疱膜をピンセットで摘んで取りました。

6月28日の右太もも。

深めだったので浸出液が多く、火傷の表面に黄色いフィブリン膜(タンパク質の膜)ができていました。発赤などなく、このまま経過を見ます。

処置はこれまで通りを継続してもらいました。

7月3日の上腹部。

もう治っていました。

同じく下腹部。

こちらも治癒していました。

もうしばらくはワセリンを塗って、スレ内容に保護だけしてもらいました。

7月3日の右太もも。

フィブリン膜は自然に取れており、周辺は治ってきています。

中心の白い部分は深い部分で、壊死組織が溶けて行っているところです。

処置は同じものを継続。

7月10日の腹部。

ワセリン保護だけで十分な状態です。

積極的に入浴して黒っぽい残存した水疱膜をふやかして流すようにしてもらいました。

7月10日の右太もも。

中心に白いところも、中から点状に肉芽が上がってきました。

周りに汗疹ができていましたので、小さめにプレスモイストを貼るようにしてもらいました。

7月17日のお腹。

すっかりきれいになりました。

7月17日の右太もも。

あと2cmくらいまで治っていました。処置は同じものを継続。

7月24日のお腹。

色も普通に近づいています。

7月24日の右太もも。

治癒していました。ワセリン保護のみしばらく継続してもらいました。

9月4日。

お腹はさらに目立たなくなりました。

9月4日の右太もも。

深かった部分が盛り上がってきました。ドレニゾンテープ貼付を開始しました。気長に治療を続ける必要があります。

同じお湯を浴びても皮膚の厚みや服の厚みなどいろいろな要因で火傷の深さは違ってきます。

今回の患者さんはお腹は派手にやけどしたように見えましたが深さは浅くすぐ治りました。太ももの方が深くて残念ながら痕が盛り上がってきましたが範囲はかなり小さく済んだと思います。小さなうちはテープ剤で治療し、成長後も残ってしまっている場合は、御本人が希望されれば注射での治療でかなり目立たなくはなると思います。