症例71:高齢者の表皮剥離

89歳女性。転んで左肘と左膝を怪我して受診されました。

7月6日初診時の左肘。

皮膚がめくれて丸まった状態でした。

局所麻酔の上、丸まった皮膚を伸ばしてテープ固定しました。上からワセリン付きプラスモイストで被覆しました。
7月6日初診時の左膝。

皮膚がめくれて、下に血餅(血液の塊)ができていました。

局所麻酔をした上で皮膚の下の血餅を除去、皮膚を伸ばして元の形にして固定しました。

こちらも上からワセリン付きプラスモイストで被覆しました。

7月9日の左肘。

テープは剥がれず、剥がれていた皮膚も定着していました。

7月9日の左膝。

こちらも皮膚は定着していました。色が悪いですが、少なくとも皮下組織などは生着していると思われます。

7月15日の左肘。

皮膚の表面は壊死して取れましたが、真皮は生着しており傷としてはかなり浅い状態になっています。

ワセリン付きプラスモイスト継続です。

7月15日の左膝。

色がかなり良くなっています。血流の乏しい辺縁は表皮は脱落しそうですが、概ね良好な経過です。

ワセリン付きプラスモイスト継続です。

8月6日の左肘。

すっかり治ってました。

8月6日の左膝。

こちらも完治していました。

高齢者の皮膚は弱くなっており、転倒などで剥離してしまうことがよくあります。剥離してしまった皮膚は丸まったままだと壊死して取れてしまい、深くて広い傷が残って治るのにとても時間がかかります。丸まった皮膚を丁寧に伸ばして傷をきれいに覆って固定するとかなりの確率で生着し、早くきれいに治ります。