2021年2月発行ニュースレター第35号「トイレが近くて困る人へ」

1日の尿回数は平均4~6回、夜間は0~1回です。しかし、30分ごとにトイレに行きたくなったり、夜に何回もトイレに起きる方がいて、この症状を頻尿といいます。一旦尿意を催すと我慢できなくなる状態を尿意切迫感といい、トイレが心配でバスなどに乗れなくなってしまう方もいます。

頻尿にはいくつかの原因があり、原因ごとに治療が異なります。頻尿の専門は泌尿器科ですが、腎臓内科の当院でも可能な範囲で治療をしています。


一時的な場合は膀胱炎やカフェイン

普段は問題ない人が急に頻尿になった場合は膀胱炎が疑われます。排尿時痛などあれば更に疑わしいです。検尿で診断し、抗生剤で治療すれば治ります。また、カフェインには利尿作用と膀胱刺激作用があります。

男性に多いのは前立腺肥大

中年以降の男性では前立腺肥大が原因になっていることが多いです。肥大した前立腺が膀胱を刺激して尿意を起こします。進行すると尿が出にくくなったり、出し終わったあともスッキリしなくなったりします。

男性の頻尿はまず前立腺肥大の治療から始めますが、過活動膀胱が合併していることも多いです。

女性に多い過活動膀胱

膀胱が過敏になって、少し尿がたまっただけで排尿の反射が起きてしまうのが過活動膀胱です。反射的に膀胱が収縮してしまうので激しい尿意(尿意切迫感)があり、我慢できずに漏れてしまう(切迫性尿失禁)こともあります。40歳以上の方の7人に1人がこの病気で困っているそうです。女性に多いですが男性もかかります。他の病気がないかエコー検査などした上で内服治療します。

気をつけないといけない神経因性膀胱

高齢者や脳梗塞など起こした方は、神経因性膀胱と言って膀胱がパンパンになっていることがあります。膀胱が収縮しなくなっていて、限界までたまった尿が少しずつ漏れ出てくるのでしょっちゅう少しずつ失禁するようになります。重症の前立腺肥大でも同様に膀胱がパンパンになっていることがあります。治療しないと腎不全になりますので、排尿の異常があるときは必ずエコーで膀胱の状態を確認しないといけません。

院長からもう一言

頻尿は膀胱・前立腺の病気のことが多いですが、それらの場合はトイレは近いが1回の尿の量は少ないのが特徴です。

行く度にたくさん尿が出る場合は水の飲みすぎのこともあります。

また、昼はそうでもないが夜間の尿の回数と量が多い場合は心不全や腎臓病が隠れている場合があります。こちらは内科の病気ですのでぜひご相談ください。

PDF版はこちら→第35号202102