2022年2月発行ニュースレター第41号「お手軽だけど意外とすごい!検尿の見方」

 

当院は糖尿病や高血圧など慢性疾患の初診時には必ず検尿を行います。また、糖尿病の患者さんには毎回検尿をお願いしています。こんなに検尿を重視するクリニックはあまりないと思いますが、院長はもともと腎臓内科が専門で、検尿の大切さが身にしみています。検尿は痛みもなく簡単に検査できて料金も安く、いろいろな情報が読み取れる貴重な検査です。当院では他院よりも項目数の多い検査紙を使用していろいろな病気が見つかるようにしています。

今回はおろそかにされがちですがとても大切な検尿についてまとめました。

検尿でわかること:糖尿病関連(尿糖・尿ケトン)

尿糖は(-)が正常で、(±)以上は高血糖の可能性があります。尿糖は腎臓で血液から尿が作られた時間帯の血糖を反映しますので、排尿の1~2時間前の血糖が推測できます。血糖が160~180を超えると尿糖が出始めますので、絶食で(±)、食後で(2+)以上であれば糖尿病である可能性が高いです。このとき尿ケトン体も一緒に見て、尿糖と尿ケトン体がともに(2+)以上の場合はかなり重症の可能性がありますのでご注意ください。健康な人でも絶食時には尿ケトン体(+)くらいはありえます。

検尿でわかること:腎臓病関連(尿蛋白・尿潜血)

腎臓病を最も初期に見つけることができるのが尿蛋白です。血液検査で異常が見つかるのは中等症以上に悪化したあとですが、腎臓病は初期に治療を始めることが重要ですので検尿で早期発見しないといけません。

尿蛋白(±)~(+)くらいまでは運動後や疲れているときに一時的に出ることがあります。腎臓病の場合はずっと出続けますので区別が付きます。尿蛋白(+)以上が続いている場合はいずれ腎不全になる危険があり放置は厳禁です。尿潜血は腎臓病と膀胱の病気などで出てきます。尿蛋白を伴っていれば腎臓病、尿潜血単独なら腎結石や腫瘍を疑います。検査をしても原因不明な場合が6割ですので、絶対見落としてはいけない腫瘍がないかを調べて問題がなければ経過観察します。

検尿でわかること:膀胱炎関連(尿白血球・亜硝酸塩・尿潜血)

排尿痛などの症状があり、尿白血球が(+)以上であれば膀胱炎です。亜硝酸塩は膀胱内の細菌が多いと陽性になります。膀胱炎がひどくなると尿潜血も陽性になります。

院長からもう一言

尿に泡が立つというご相談がよくありますが、検尿で蛋白が陰性なら心配はありません。

腎臓病による蛋白尿の泡はメレンゲのように細かい泡で、時間が立ってもなかなか消えません。粗い泡ですぐ消える場合は尿蛋白以外の成分によるもので正常範囲です。

検尿ではその他に、ビリルビンが陽性なら黄疸、ウロビリノーゲンが(-)なら胆汁うっ滞、(+)以上なら便秘を疑うなど様々なことがわかります。

PDF版はこちら→第41号202202検尿の見方