2022年8月発行ニュースレター第44号「下肢静脈瘤の原因と治療」
ふくらはぎに蛇行する血管がコブのように浮き出てくる下肢静脈瘤は40歳以上の女性によくみられ、出産経験のある女性の二人に一人は発症する病気です。遺伝性があり、立ち仕事を長期間するとさらに発症しやすくなります。
美容上の問題以外の健康上の問題が起きることは少ないですが、放っておくと進行します。
下肢静脈瘤の原因と症状
静脈には弁があり、心臓方向への一方通行になっています。ふくらはぎの表面の静脈は足の中心にある太い静脈に合流しますが、ここも逆流しないように弁があります。この弁が壊れたり機能不全になると、細い静脈に血液が逆流してきます。
立っている状態だと静脈内の圧が高くなり徐々に血管が膨れてきます。見てわかるほど膨れてきたのが静脈瘤です。脚を上げると血管内の圧が下がってぺちゃんこになるのがわかります。
静脈瘤のほとんどは健康上の問題はなく、美容上気になる程度です。
皮下の静脈としては太い伏在静脈の静脈瘤がひどくなると、中に血栓ができて静脈炎になったり、静脈瘤の上の皮膚に皮膚炎や皮膚潰瘍ができたりしますので外科治療の対象になります。
慶應義塾大学KOMPAより引用
下肢静脈瘤の治療
一度膨れてきた静脈は立ち仕事は圧がかかり続けるので放置すると更に膨れてきます。弾性ストッキングで外から圧迫しておけば悪化しませんので気になる方は日中は弾性ストッキングを着用しましょう。
静脈炎や皮膚の症状が出ている方は外科治療の適応です。以前は静脈瘤を手術で引き抜いてしまうストリッピングなどの手術が主流でしたが、現在はカテーテルで内側から血管を焼いて逆流を止める方法が主流になっています。日帰り手術が可能で血管外科のクリニックで行われています。
PDF版はこちら→第44号202208下肢静脈瘤の原因と治療
つかもと内科 院長
平成5年鹿児島大学卒業
総合内科専門医、腎臓専門医、透析専門医